作品は、のこる
氷室冴子さんが亡くなりました。
これだけ本が好きで、いろんな作品を読んでいると、好きな作家の死にも出会ったりしますし、その時その時でショックを受けてはいるのですが。
・・・これほどその死にショックを感じた作家さんは初めてでした。
考えてみれば、わたしの「本との人生」はコバルト文庫から始まったようなものだし、だとするならば氷室冴子さんの作品と一緒に育ってきたといっても過言ではないわけで。
もっとも、「小説」として夢中になったのは新井素子作品の方だったかもしれません。
氷室作品は、小説という前に・・・「本が好きでちょっと変わった女の子」という自分の姿をそのまま投影したものに思えて。
なんていうんだろう、「女の子として育っていくってこういうことなんだ、女の子にはこういうことが待ち受けているんだ」みたいな・・・道しるべのような存在だったように思います。
それは、一般的な女の子としての道しるべじゃなくて(笑)、そこから少し外れちゃった女の子の道で・・・どうあがいても無心にはしゃぐことのできない、どこかに「何か違う・・・」って気持ちを抱いている女の子の道しるべ。
みんなそうなのかどうかはわからないけれど、少なくとも「何か違う・・・」って思いながら生きていた子供時代のわたしには、初めて見つけた「自分と似たようなもの」だった気がします。
今はもう記憶が薄れちゃったけど『クララ白書』や『アグネス白書』『白い少女たち』あたりをほんとにバイブルのように思って読んでた時代があったし。
自分もいつかこういう、自分と似たような仲間たちと居を共にして生きていくような生活がしたいな~と、憧れていたように思います。
それから、一番思い出に残るのは『シンデレラ迷宮』『シンデレラミステリー』。
これはもうまさに自分にどんぴしゃりで。
現実の世界に辛いことが多くて、だから好きな本ばっかり読んで、外の世界と交わろうとしない女の子が、本の世界に入り込んじゃうのね。
で、古典的名作の登場人物たちの切ない事情や心の内を知り、自分と重ね合わせ、自分の心にも気づいていくっていうストーリーで。
ああ、この主人公は自分だな・・・って激しく共感したものです。
外の世界は生きづらくて、でも本の世界に逃げ込めばそこはいつでも居心地が良くて、ず~っと本の中で暮らしていきたい・・・。
って思ってた自分に、「本の中も現実も同じ。現実の世界に生きてるなら、それに向き合って生きていかなきゃ」って背中を押してくれた作品でした。
・・・しかしあらためて・・・なんて辛いコドモ時代だったんだ、ワタシ・・・別に何も辛い事なんてなかったのにね・・・気持ち的に辛かったんだよなぁ、なんか・・・。
同時に、「女の子は強いんだよ、オトコなんかに頼らずに女は生きていけるんだよ」っていうメッセージも受け取って(あれ?そうだよね?この作品って)。
「よぉ~し、オトコなんて必要ない!女は強いんだ~~~!」って思ったのよね・・・中学生くらいの時に(笑)。
でも当然恋とか意識しちゃう年頃でもあるので、『なぎさボーイ』『多恵子ガール』『北里マドンナ』も読んだなぁ・・・何百回も。
ちょうど中学生くらいの、幼いけど真剣な思いが痛いくらいに描かれてて、なんかもうほんと、3冊を日替わりで読むくらいの勢いで読んでました。
たぶんまだ実家にあるな・・・持ってこなくっちゃ。
そうそうそれからなんといっても、氷室さんといえば平安ものでしょう。
彼女の作品のおかげで平安好きになったのかなぁ、わたし。
でもね、意外と『なんて素敵にジャパネスク』は読んでないのです。
なぜならば・・・瑠璃姫が切なすぎるから。
まっすぐすぎて、周りからおかしな姫扱いされてしまうのが悔しくて、辛くて。
前にも書いたことがありますが、基本的にわたしは「主人公が評価される」話が好きなので・・・主人公が誤解されっぱなしっていうのはどうにも辛くて読めなくて。
でもなんだかんだとストーリーを把握する程度には読んでたのですが。
一番好きなのは『ざ・ちぇんじ』かな。
おかげで原作の「とりかへばや物語」が気になっちゃって、いまだに図書館で田辺聖子訳のとりかへばやを借りて読んだりするくらい。
氷室さんのおかげで、平安文学に触れた女の子が確実に増えたよなぁ、と思うと、本当にありがたいしうれしいしすごいな~と思います。
あ、あと『いもうと物語』っていう自伝的小説もオススメ。
小学生の女の子の視点で、一昔前の北海道の暮らしを描いていて・・・生活ぶりのなつかしさもあるし、何よりも姉妹の空気がすごくよく出てるの。
わたしは二人姉妹の姉なので、この作品を読むと「く~っ、妹ってこうなのよねっ」ってなんか憎たらしく感じてしまうのですが(妹の皆さん、スミマセン・・・)。
でも「そうそう、姉妹ってこうなんだよね・・・小さい頃ってこうだったよね」ってなんか泣けてきます。
ああ・・・・・書いてたら泣けてきた・・・。
そうか。
なんでこんなに氷室さんの死がショックなんだろうって思ったら。
彼女の作品を読んで感じてきたいろんな気持ちが、いっぺんに湧き上がってきたからだ、きっと。
幼かった頃の、少女だった頃の、いろんな気持ち。
それこそ、今よりももっとずっと「本と共に生きていた自分」の姿。
切なくて、泣けてくる。
あんなに素敵な時間をプレゼントしてくれた氷室さんが、いなくなってしまった。
もっとずっと、書き続けて欲しかった。
そして、今少女時代を過ごしている、わたしのような女の子に、力を与えて欲しかった。
・・・でも。
本は、残る。
作品は、残り続け、読まれ続けていく。
作家って、すごいね。
わたしも、生きている限り氷室さんの作品は読み続けていくし。
氷室さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
北海道に帰って、なつかしいやさしいおじいちゃんたちと再会して、おいしいものを食べて、自分の作品が読まれていく様子をこれからもずっと見守り続けてくださいね。
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★昨日6/6(金)のエクササイズ★
頭痛のタネがあるのでお休みしました
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コメント
☆coyu2さん
coyu2さんも氷室作品読んでらしたのですね^^
少女小説とはいわれていますが、いくつになっても読むに足る小説たちでしたよね。
今の女の子たちにもぜひ読んで欲しいなぁ。
娘さんにもよかったら勧めてみてくださいね。
わたしもまた読んでみたいと思っています。
森村桂先生も突然でしたものね・・・文章を綴ることには身を削るような痛みが伴うのかもしれませんが・・・作家の皆様が少しでも心身を健やかに保ってくださるよう祈らずにはいられません。
そしてほんと、素晴らしい作品を読ませてくださってありがとう!ですね^^
投稿: snow | 2008年6月 9日 (月) 13:05
わかります!!
私も氷室冴子先生の作品大好きでした。
中学・高校・大学と本当にバイブルのように読んでましたね~。
そうそう、新井素子先生もね!!
なので、亡くなられたと聞いた時はショックでした。森村桂先生の時も悲しかったけど・・・・。
私の青春の1ページにサンサンと輝いている作品たち。本当にありがとうございますって感謝の気持ちでいっぱい!!
私もまた当時を思い出して読み返そうかな~。
娘にも読ませたいわぁ~。
投稿: coyu2 | 2008年6月 9日 (月) 08:56
☆にゃあにゃさん
本当に・・・こんなに若くして逝ってしまうとは思いも寄りませんでした。
にゃあにゃさんも読まれていたのですね。
懐かしい記憶ですよね・・・。
こうして思い出に残っていくことが、彼女への供養になりますように・・・。
投稿: snow | 2008年6月 8日 (日) 07:42
51歳だったんですってね。
まだお若かったのに。
私も「なぎさボーイ」とか「じゃぱねすくシリーズ」は何度も読みましたとも。
残念です・・・。
投稿: にゃあにゃ | 2008年6月 7日 (土) 22:34