« 朝食トレイ | トップページ | 光!! »

『御宿かわせみ』読了



『御宿かわせみ』、ようやく全巻読み終わりました。


先日の記事では、内容についてあまり触れていなかったので、今日はあらためて『御宿かわせみ』についてのわたしなりの感想をとりとめなく。


御宿かわせみ〈新装版〉 (一) (文春文庫) 御宿かわせみ〈新装版〉 (一) (文春文庫)

著者:平岩 弓枝
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する



ドラマでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、『御宿かわせみ』は江戸末期の大川端、深川、八丁堀が舞台。


同心だった父を亡くし、女手一つで「かわせみ」という宿を切り盛りする主人公るいと、その恋人で与力の次男坊である神林東吾を中心にした短編集です。


一つのお話にたいてい一つの事件が絡まっていて、「かわせみ」の宿泊客に関係した事件だったり、東吾の親友の同心から持ち込まれた事件だったり。


スッキリ解決するときもあり、余韻を残して終わるときもあり、捕物帖・・・というよりは、人情物の色合いが濃いように思います。


ドラマがきっかけだったせいか、江戸の街並みや宿の様子が映像として浮かびやすくて、それもハマってしまった一つの要因かもしれません。


まず「かわせみ」がね~、泊まってみたいな~と思えるような、しっとりした情趣にあふれた宿なのですよ。


帳場では、るいの父の下で岡っ引をつとめていた嘉助さんが、番頭としてさりげなく客に目を配りながら、しっかり宿を守っているし。


女中頭のお吉さんは、そそっかしくておしゃべりだけど、情に厚くてお客あしらいも上手だし、女中たちへのしつけもしっかりしてるから居心地良さそう。


板場のみなさんも、えびしんじょのあんかけやら茄子の田楽やら鯛茶漬けやら鯉のあらいやらを手早く作って、突然訪ねてきたお客にもひもじい思いをさせないし。


文章の端々から、もてなしの良さ、食事のおいしさ(当時朝食を出す宿はまれだったそうですが)、部屋の清潔さ、働き手の気持ちよさが偲ばれて、しっかりした良い宿だなぁ、ってなんだかうれしくなってしまう。


で、それが、女主人であるるいの人物像につながってくると思うのですよ。


鬼同心の娘、武家の娘として、茶道やお琴など一通りのたしなみを身に付け、身に危険が及んだときは小太刀も使うしっかりした芯のある美しい女性。


面倒見がよく、涙もろくて、でも肝心の所はちゃんと押さえて出しゃばりすぎたりしない、勘の良さ。


いずれ神林家を継がねばならない東吾との報われないかもしれない恋に、悩み傷つきながらも、それを心に秘めて表に出さない強さ。


それでも、女性によくもてる東吾には焼かなくていい焼き餅をやいて、拗ねたりつんとしてみたり、逆にそれが思いがけない色っぽさを東吾に感じさせたりする女らしさも十分。


なんというか・・・凛としていて、でもどこかに柔らかさのあるるいの雰囲気が、そのまま「かわせみ」という宿の雰囲気になっているのではないかしら。


そこに、恋人の東吾が始終入り浸ることによって、東吾の持つ明るさ、屈託のなさ、おおらかさが、「かわせみ」にさらにいい影響を与えて風通しをよくしている感じ。


そう、東吾はね~、ほんとに理想の男性ですよ。


幼なじみのるい一筋で、ま、そりゃモテるんで余所で何もないとはいいませんが(笑)、でもるいのためになることなら何でもしてあげたい、という年下男のいじらしさ^^


ふだんはのんびり、「かわせみ」に入り浸りつつ、自邸では父代わりの兄やおっとり優しく美しい兄嫁とも仲良く暮らしていて。


でも、剣を持たせりゃ「春風駘蕩の剣」と言われ(あら、磐音の居眠り剣法みたいね^^)、向かうところ敵なしで強い正義感の持ち主で。


いったん事が起こると、親友の同心・畝源三郎と一緒に江戸の中を縦横無尽に駆け回り、鋭い勘を働かせて、事件解決に一役買う。


下の者にはざっくばらんにべらんめえ調で親身になって話しかけて警戒心を持たせず、上の者には折り目正しく、でもいつのまにか懐に飛び込んでしまう。


時には「かわせみ」のみんなを巻き込んで、煙に巻きつついつの間にか事件を解決してしまったり。


茶目っ気のある小芝居を打って相手を油断させ、何もかも白状させてしまったり。


なんかね~、四角四面ではない、人の心の機微に通じた言動が、東吾の最大の魅力だと思うのですよ。


人懐っこく洒脱で、でも女性関係はちょっぴり野暮で(笑)、友情に厚く、周囲の人々を愛し思いやることのできる人。


こういう男の人って、ほんっとにいいなぁ~( - -) トオイメ


あ、でも、東吾の兄の道之進さまも、弟思いで仕事はバリバリ、愛妻家でしかも役者にしたいような美男だそうで、これまたうっとり☆


それから、東吾の親友の源三郎も、堅物で仕事一筋だけど、優しくて思いやりがあって妻思いで、これまた捨てがたい。


いやいや、長崎帰りの医者である天野宗太郎も、飄々としていて、フェミニストで、淡々としているようで心に熱いものを秘めていてカッコイイ。


う~ん、迷うな~・・・(何を)。


一つ一つのお話は、なんせ捕物帖の流れなので、殺人や盗みはもちろんのこと人間の欲や愛憎をかなり露わに描写している話もあり、読後感は清々しいというわけには参りません。


「かわせみ」を取り巻く人々の清涼感がなければ、次の話に手が伸びないくらいかもしれない。


結局最後まで読み通してしまったのは、やっぱり「かわせみ」という宿にこころ惹かれたからに他ならないと思います。


宿のたたずまいも、人々のたたずまいも。


このお話、前半の主人公たちの子供たちの代に移り変わりながら、今もまだまだ続いています。


これからは、新しい巻が出版されるのをゆったり楽しみに待ちながら、手元にある『御宿かわせみ』を時々読み返していこうと思っています。


江戸情趣を味わいたい方、素敵な女性や凛々しい男性たちの活躍を楽しみたい方々、ぜひ一度味読あそばせ~^^



☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆

★昨日11/5(月)のエアロバイク★              

 所用によりお休みで。

☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆


« 朝食トレイ | トップページ | 光!! »

「book」カテゴリの記事

引っ越し先ブログ

あそんで!

  • ☆ すのーにゃん ☆

おかいもの

BOOK・OFF

  • ブックオフオンライン

別館リンク