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『キャノン姉妹の一年』


ドロシー・ギルマンといえば、『おばちゃまは飛び入りスパイ』シリーズの作者です(わたしの中では)。

なんというか、肩の凝らない読み物を書く人なのだな、という印象だったのですが。

この『キャノン姉妹の一年』を読んでから、がらりと印象が変わりました。


キャノン姉妹の一年 (集英社文庫)

トレイシーとティナの姉妹は、幼いときに両親を事故で亡くし、それぞれ父の姉妹たちに引き取られて育ちました。

トレイシーは、ニューヨークに住むおおらかで裕福な未亡人の叔母の元に。

ティナは、フィラデルフィアに住む厳しく専制的な叔母の元に。

トレイシーは大事に育てられ、社交界にデビューし、恋人もいます。

でも、退屈な生活と、世界中を飛び回り自分を待たせ続ける恋人に、ある日我慢できなくなります。

一方の妹ティナは、愛情に飢え、学校の問題児になっています。

そのことと、そして名目上の後見人だった叔父が、自分たちに家を遺産として残したことを知ったトレイシーは、妹を連れてバークシャーの湖畔にあるその家で暮らし始めるのです。


この本はいろいろな視点から読むことができて、そのつど楽しめるのですが。

妹のティナに注目すれば、彼女が心を開き、見る見るうちに健康的でいきいきとした少女に変わっていく様子に、こころがあったかくなります。

アメリカのティーンの生活ってこんななのかな~なんて、ほほえましくなったり。

そして、姉のトレイシーに注目すれば、大人の女性の、自分の生活や人生に対する疑問や葛藤が読み応えがあって。

友情や愛情って、どうとらえたらいいんだろう?なんていう読み方もできますし。

うん、わたしは、自分が二人姉妹の姉だからか、トレイシーに共感しながら読むことが多いですね。

彼女の、きっぱりとした強さが、すごくスキだし、憧れます。


それから、バークシャーの湖畔でのナチュラルな暮らし!

マサチューセッツって、寒いんですね…雪はものすごく積もるし、春はなかなか来ないし。

で、なんせ独立してお金のない姉妹ですから、生活が軌道に乗るまでの間、サバイバルな(笑)暮らしを余儀なくされるんですよ。

水はポンプで汲み、薪を切ってストーブにくべ、湖で魚を釣って焼いて食べ、野草を摘んでサラダに…っていう。

でもね~、なんだか楽しそうで。

夏にはブルーベリーをつんでジャムを作り、畑も作って野菜を育て。

冬はストーブに鍋をかけっぱなしにして、野菜や肉の残り物で温かいスープを作る。

歯は塩と重曹で磨き、バスローブをほどいて冬のあったかい部屋着を作る。

これぞナチュラルシンプルライフだなあ…と、なんだかうらやましくなったりして。

それに比べて、自分はなんと多くのものたちに囲まれて、きゅうくつな暮らしをしていることよ…。

むしょうに、節約生活がしたくなったりして(そんな反応でいいのか?^^;)


なにもかもが、肩の力を抜いて、気持ちよくそこにある。

そのすばらしさを教えてくれる、豊かでやさしい本なんです。


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