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『にぎやかな天地』


宮本輝作品、実は読んだことなかったんです。

なんでだか、読む機会がなくて。

みなさん、いーよーって絶賛してるのに。

すごく恋愛もの!って感じがして、いいなあ、という印象もあるのに、なぜか手を出せなくて…。

この作品も、たまたま新聞に連載されたおかげで、出会うことができました。

ほんと、出会えてよかったと思ってます。


若くして不幸な亡くなり方をした父のことを、こころのどこかで引きずっている聖司。

豪華限定本を作る、という仕事(そういう仕事があるんですね~)をしている彼が、いつも仕事を紹介してくれる資産家から、日本の発酵食品についての本を作って欲しいという依頼を受ける。

いろいろな人々と協力しながら(これがまた、真摯に生きている人たちばかりで、気持ちいいんです)、発酵食品についての様々な取材を経ていくうちに、彼自身のこころも変化していきます。


そう、まるで、それまでのいろいろな思いが、発酵していくように。


新聞連載だったおかげで、読むペースもゆっくりにならざるを得ず、これがまた読んでるこちらのこころも、ゆっくりと発酵させてくれたんです。


ゆったりとした、素敵な時間でした。


せっかちで、速読なわたしなのに、なぜか待てるんですよ。

むしろ、待つことで、読む楽しみが芳醇なものになっていくような、そんなゆとりまででてきて。

発酵する、熟成する、ということの豊かさを、この本で知ることができた気がします。


また実際に、出てくる食品たちの、清らかなこと!


壁や天井にまで酵母がついた蔵の大樽の中で、ひそやかに発酵を続ける醤油。

四回も黴つけをし、天日干しをして寝かせた、中心がルビー色をした本枯れの鰹節。


ほんとうに生きていて、人間のからだの中をきれいにしてくれるものがたくさん出てきます。

本物の食べ物を食べることが、本当の生き方を作る。

と、思うのです。


ちょっと気持ちがよどんだときには、この本がとてもよく効きます。

まるで、本当に手をかけた食べ物を口にしたように、からだとこころがきれいになれる気がして。

読むたびに、清められる。

そんな本です。


にぎやかな天地 上

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